2002年5月『熟年ご夫妻の旅』
企画・案内:佐々木郁夫
・・企画のはじまり・・
「佐々木さん、60歳後半のご夫妻が、ちょっと変わった旅をしたいと言って来られたんですが~、やってくれませんか?」・・・と、日本から電話があり、「いいですが~どんなお客さんですか~?・・・ながくなるので、こっちから電話をかけなおします!」と言って電話を切り、パソコンを立ち上げました。
電話をくれた日本の旅行社の友人に、安いインターネットの電話で話し、ご夫妻の今までに参加された旅や、個性や性格などを聞きました。
地図を見ながら、ワインを飲み、お客さんの喜ぶ顔を想像しながら旅を作っていくのは、とても楽しいものです。
・・・ここで泊まって、このレストランで「あれ」を食べてもらって、年配だからこの辺で昼寝してもらお~か。・・・この「CASA RURAL」(プチホテル)の暖炉の在るスイートの部屋で、ゆっくり寛いでもらおう~とか、・・・あの「マグロ村」でマグロを食べてもらおう~、そしてジブラルタルからモロッコを見てもらおう~・・・・・と、旅の行程が出来上がっていきます。
「今、関西空港で、ご夫妻を見送りました。ファーストクラスでパリまでは寝ながら行かれ、パリでの乗換えが心配なので、奥さんは車椅子に乗ってもらいます。ですから間違いなくマドリッドにお着きになりますから宜しくお願いします。」とメールを受取り、友人の配慮に感心しました。
夕方の6時半にマドリッドに到着され、空港のポーターに、車椅子のおばあさんとその横のおじいさんを探してくれと頼み、荷物もお願いし、私は外で待っていました。
ドアが開き、空港の職員に車椅子を押された奥さんとご主人が出てこられ、私が挨拶すると、奥さんは、さっと車椅子から立ち上がり、元気に挨拶されました。
『私はね~、歩けますにゃけどね~、パリでの乗換えが心配や~言うたら、足が悪いことにしたら、車椅子で案内してくれる言うもんやから~』と、立ち上がりながら奥さんが元気に喋り、『いや~、はじめまして、まちがわんと着けましたわ~!』と、ご主人。
・・・「 なんや!この小母はん、歩けんのかいな!」と、驚いた顔をしている車椅子の空港係員にチップを払い、ご夫妻をベンツに案内しました。
空港からグレドス山中のホテルまでの2時間、お二人とも元気で、今までどんな旅行をしてきたかという話を聞いている間に、「カサ・ルラル(プチホテル)」に着きました。
ホテルのオーナーは名コックで、夫婦で経営している話題の「カサ・ルラル」です。お二人をスイートの部屋に案内して、ベランダから庭に出て、まだ雪の残る山を見てもらっていると、『美味しそうな匂いがしてきたけど~、今ここは晩ごはんかいな~?』とご主人。『あんた、何かよばれましょか?お腹空きましたでしょ!』と奥さん。
シェフに二人が日本から着いたばかりだと説明し、ご夫妻にはホテルのオーナーでもあるシェフを紹介しました。しばらくすると、シェフの奥さんが、あっさりした野菜スープと一人前の焼き魚を二人に分けて出してくれました。
大都会のマドリッドで朝を迎えることを避け、小鳥のさえずりで目覚めていただこうと思い、私が選んだこのホテルを二人とも気に入ってくださり、朝食は運転手も一緒に食べることになりました。
ご夫妻は運転手の朝食の食べ方を見て、『こっちの人は、パンに油かけて塩もかけて食べるんですね!』と聞かれ、朝からオリーブオイルの説明などしながら今日のだいたいの予定を話し、漫遊の旅が始まりました。
一日目
空港から高速道路にて、マドリッドの北西グレドス山脈の中のホテルに、九時半頃到着。ホテルのオーナーは名コックで、奥さんと経営してる小さなホテルです。
夕方の飛行機で到着されましたので、大都会のマドリッドで朝を迎えることを避け、小鳥のさえずりで目覚めていただこうと思いました。
二日目 朝 10時 出発。
セゴビア(世界遺産)の町を見学。ローマの水道橋、旧市街、白雪姫のお城のモデルになった、アルカサール(王城―入場)、など。
昼食は上の写真の有名なレストランで「ローマの水道橋」を見ながら、名物料理の「仔豚の丸焼き」です。
仔豚は一匹で、4~6人前です。我々は一人前をオーダーして3人で頂きました。茸の料理、豆料理、サラダ、・・・も一人前です。
パリッと焼けた皮、柔らかくてジューシーなお肉でした。
アビラの町に立寄り、プチホテルに戻り夕方の「昼寝」をしていただき、
夕食はシェフの自慢料理を数種類頂きました。・・・一人前を三つに分け、少しにしてもらいました。
夕食後、庭を散歩しました。
・・・「天の川」の観える素晴らしい星空でした。
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