佐々木郁夫のぶろぐ
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プロフィール
HN:
佐々木郁夫
年齢:
65
性別:
男性
誕生日:
1952/04/10
職業:
観光通訳ガイド
趣味:
音楽、絵、人を楽しませること
自己紹介:
1978年スペインに渡る。
フラメンコギターをパコ・デル・ガストールに習う。
ドサ回りの修行の後、観光通訳ガイドをはじめる。

現在、
日本人通訳協会会長、
SNJ日西文化協会副会長、
マドリード日本人会理事。

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フラメンコ談義・23

― 『踊り子 ロシオ』 ―

はじめて過したセビージャでの体験で、私は「フラメンコ」のとんでもない深さを知り、自分はどこから、何を勉強すればいいのかも判りませんでした。

『おばちゃん、マドリッドに帰るわ、』 『なんや! マドリッドに行くのか?』『おばちゃんのこと、忘れへんで~、「グラシアス ポル トード」(いろいろとお世話になり有難う!。・・・前の日に覚えたこの言葉が言えて良かった!!)本当にグラシアス!おおきに!』・・・と私がお礼を言うと、おばちゃんは、それまで見せなかったまじめな顔になり『大した事してないがな!・・・いつでもまたおいでや!気いつけてな!』『おばちゃんも身体に気つけや!また来るわ、アスタ プロント!』・・・と世話になったおばちゃんに挨拶しマドリッドに戻りました。

マドリッドの「アモール」のスタジオでは、夏のバカンスも終り、『パコ・フェルナンデス』のクラスレッスンが始まり、また、ペンションとスタジオを往復する生活が始まりました。 
 フラメンコの踊りの種類はカンテ(詩)の数より少ないといっても沢山あり、それぞれの踊りは基本的に決まっている事がわかって来ました。しかし、踊りのレコードは少なく、マドリッドの『タブラオ』では、「アレグリアス」とか「ソレアレス」、「セビジャーナス」、「ファンダンゴ デ ウエルバ」、「タンゴ」、「ブレリア」、「ルンバ」という踊りは観ることが出来るのですが、他の踊りはほとんどやっていませんでした。
 しかし、『パコ・フェルナンデス』のクラスで、「ティエントス」、「シギィリージャス」、「タンゴ デ マラガ」、「グアヒーラス」・・・なども学ぶことが出来ました。

踊りですが、はじめにギターが短いメロディーを引き、歌が始まり、歌に合わせた踊り(歌振り)、そして踊り手の「サパテアード(靴音の技)」、再び歌と歌振り、そして再び「サパテアード」になり、テンポが早くなっていき、歌も加わり、盛り上がって終わっていきます。

踊りの構成や、コンパス(リズム)がわかったといっても、どんな気持ちで、どのような雰囲気で弾けばいいのか自信が持てませんでした。踊り手や歌い手、そしてギター弾きが、気持ちを入れて表現するその“フラメンコの『アイレ(雰囲気)』”の源を知りたくなりました。

事前のうち合せもなく、ギターと歌と踊りが始まる舞台では、皆が共有する基本的な、心に湧く感情があるはずで、何を目指して、どんな「アイレ(雰囲気)」で表現するのかを彼らは当然知っているわけです。
物心がつく前から、フラメンコのコンパス(リズム)やカンテ(歌)が周りにある世界で育った彼らにとって、フラメンコの「アイレ(雰囲気)」は自然に身についているわけです。
 それぞれのフラメンコの「アイレ(雰囲気)」の表現に個性があって、お互いに影響しあい、‘いいもの’が生まれていきます。

日本で民謡、演歌、歌謡曲、ビートルズ、グループサウンズ、フォークソング、百恵ちゃん、ジャズ・・・を聞いて育ち、フラメンコに出会い、スペインにやってきた者とは違うわけです。
 自分が今まで経験した「フラメンコ」から、感覚的に漠然として理解していた「アイレ(雰囲気)」をより深く知りたくなったのです。
とにかくフラメンコの「カンテ」(歌)の内容がわからないと話にならないと思い、スペイン人に聞いたのですが、「アンダルシア訛り」と「Calo」(ヒターノ[ジプシー]語)も少しあるので難しいという事でした。
 
本屋に行き「Flamencologia」(フラメンコの研究)の本を何冊か買いましたがとても難しくてあまりわかりませんでした。

こんな時に逢ったのが、セビージャで知り合った「チャンケ」さん(日本で活躍しているギタリスト)でした。彼に、『フラメンコ詩選』(飯野昭夫編著)の本を教えてもらい本当に良かったと思っています。 今まで、少しわかる歌詞と歌い節の雰囲気で漠然としていた「カンテ」(歌)の内容が、解説をもとに、何度も繰り返して読むことで、詩を味わう事が出来るようになってきました。
 毎日「カンテ」(歌)のレコードをできるだけ聞くようにしましたが、スタジオから疲れて帰ってくると、レコードの詩の内容を辞書で引いて調べる元気も無く、ワインを飲んで終わる日がほとんどでした。

スタジオのクラスレッスンを弾いていると、クラスを受けている人に、個人練習の時の伴奏を頼まれ、忙しい時は1日に8時間も伴奏をした事があり、食事の時に箸も持てないぐらい疲れたのを覚えています。その当時は、稽古の伴奏を1時間すると安いレストランの「メヌー デル ディア」(日替わり定食)が食べられました。

 日本から踊りのレッスンを受けに来ていた人からも伴奏を頼まれ、お金をもらいました。踊りを勉強している人は、踊りのレッスン代と稽古をするためのスタジオの部屋代、伴奏ギター代も払って大変だと思ったものです。・・・・私が稽古の伴奏した日本人の踊り手さんのほとんどが、今ではそれぞれに「フラメンコ舞踊教室」を開設し、有名な先生として活躍しています。

スタジオで個人稽古の伴奏をすることが生活になっていった頃に、『ロシオ』というプロのバイラオーラ(女性の踊り手)に出会いました。彼女はマドリッドの「タブラオ」や「フィエスタ」(お金持ちが個人的に催すフラメンコの宴)などで働いている「ヒターナ」(ジプシー)でした。「タンゴ」や、「ブレリア」、「ルンバ」の曲も踊りながら歌います。
 はじめて彼女の伴奏をした時はコンパス(フラメンコのリズム)を外してしまいました。『・・・私の足に惑わされずに普通の「コンパス」を弾いていてくれる。』『ア、・・はい。』・・・・どうも彼女は自分の「サパテアード(靴音の技)」をあみ出しているようでした。「コンパス」に上手く収まるまで練習するのです。
 12拍子が繰り返しの「コンパス」(ソレアレス)を弾いていた時、途中でアクセントが決まったところにこないリズムの(靴)音が続き、「コンパス」に注意しながら弾いていると、12の繰り返しのいくつめかでバッチリ合っていきました。ロシオに『コンパスに入ったわ! ありがとう!』と言われたのですが、その時は自分ではさっぱり訳が判りませんでした。

プロのヒターナの踊りは違うな~と思いながら、スタジオでの最後の伴奏が終わり、帰りに、一人でよく飲みに行っていたBAR(バル)に行きました。 そこでは、マドリッドに住んでいる日本人の絵描さん達ともよく逢い、友達になったものです。このBARはレストランでもあり、カウンターで生ビールをコップ一杯注文すると、おいしい「つまみ」が付いてくるのです。一杯ごとに違うものをサービスしてくれて、5杯も飲むとおなか一杯になりました。

ある日、『フラメンコのダンサーを描きたいのですが~、だれか紹介してくれませんか?』・・と知り合いになった画家に聞かれました。『いいですけど』・・・となり、お付き合いが始まりました。
 話してみると、とても面白い人で、日本では女子高の美術の先生でもあるこの絵描さんの趣味が『糞虫』(馬とか牛の糞の下などにいる昆虫)を採集する事だそうです。それがとても綺麗な昆虫らしいのです。
 『・・・え~? そんな昆虫見たことありませんが~?』『いやいや、なかなか色がよくて綺麗なんですよ!』『へ~?・・・これから先生のことを“ふんちゅう先生”とよびますよ~!』『・・え~?・・困ったな~』・・・・

 私はこの“ふんちゅう先生”に「ロシオ」を紹介する事にしました。
『ふんちゅう先生、どんな踊り手の絵が描きたいのですか?まさかフラメンコ人形のようなもの?・・~ですか?』・・・『・・ん~?』と先生、『昔、僕が絵を勉強していた頃に、「日展」で入選したという、水玉模様のフラメンコ人形のような絵を見たことがありましたが~、ぜんぜん「フラメンコ」を表現していませんでしたよ。』・・・『~ん、そうね~』
『今、ちょうど、「ロシオ」というヒターナの伴奏をしているので、練習しているところを見に来ませんか?とても魅力的な女性ですよ!』 というと『・・え~!ジプシーの踊り子?!!・・・是非頼むよ!』

この “ふんちゅう先生”は一週間もスタジオに通い、踊っている瞬間のデッサンをはじめ、練習の合間に椅子に座って休んでいるところや、踊っている時の彼女の表情も描いていました。
・・・“ふんちゅう先生”の本名は『MASAYOSHI AIGASA』といいます。 今は東京の某美術大学の教授だと、奇遇にも最近マドリッドで知り合った、この先生の生徒だった絵描さんから聞きました。

『踊り子 ロシオ』という画(油絵とデッサン)は画廊が売らないことにしたと云う事を、以前、先生からの手紙で知りました。 
稽古着のままで、汗をかいて座って休んでいる、ヒターナ「ロシオ」・・・この画は、とても“フラメンコ”を感じさします。
 

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ぼんちゃん紹介

本名:佐々木郁夫
誕生日:1952/04/10
職業:観光通訳ガイド
居住地:マドリード
役職:日本人通訳協会会長、マドリード日本人会理事
連絡先:こちら

あだ名は「ぼんちゃん」。これは、フラメンコギタリストとして、"エル・アルボンディガ(ザ・スペイン風肉団子)"という芸名を持っていたため。アルボンディガのボンからぼんちゃんと呼ばれるようになった。
案内するお客さんにも、基本的にぼんちゃんと呼ばれる。このため、本名を忘れられてしまうこともしばしば。 続きを読む

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